1. 特性について
2. 瞬時停止について
3. ノイズ対策について
4. モータの出力の求め方
5. サーボモータ選定
6. ギヤードモータの説明
DCマグネットモータは、端子電圧が一定ならば下記のような特性を示します。(fig-1)
無負荷時を最高として負荷トルクが大きくなると回転速度は下がります。回転速度が0になったところが拘束トルクです。
負荷トルクが大きくなると電流は比例して大きくなります。拘束トルクの点で電流は最大となり、この電流が拘束電流となります。
図の水色の領域、すなわち定格トルクより左側の領域がモータを連続で使用できる領域です。定格トルクより右側は、過負荷であるため連続で使用できま せん。
DCマグネットモータは、電圧に比例して回転速度が変化します。よってDCマグネットモータの速度制御を行う場合は、モータの端子電圧を変えること
により行います。
いま端子電圧を1/2にしたときの回転速度特性は、無負荷の回転速度が1/2に拘束トルクが1/2になる点を直線で結んだ特性になります。(fig-2)
モータの出力P(W)とトルクT(N・m)、回転速度N(rpm)の関係は、下式で表わされます。
P=0.1047×N×T
なおモータ入力PINは、端子電圧Vと負荷電流Iの積になります。(PIN=V×I)
各種の制御関係にモータをご使用になる場合、電源を切ったら直ちに回転を停止させたいという要求がしばしば生じます。当社の各種モータは、この目的
のために好適な機種であります。
ステータには強力なマグネットを使用しておりますのでロータ刷子間回路を短絡させて発電制動により瞬時停止を行なっても、ステ−タは減磁などの影響を受け
ることなくひん繁なる起動停止を
行っても、特性が変わる恐れがありません。
図は、一方向回転の場合ですが、正逆回転の場合もリレーを使用することによって可能です。
なおロータ短絡時に入れる保護抵抗は、抵抗値が少ないほど制動効果が大ですが、プレーキの目的に見合った抵抗(2〜70Ω、5W)をご使用ください。効果
の一例を図示しました。
整流火花などによるノイズが外部回路に対し影響を及ぼす恐れがある場合にはノイズ対策を施して下さい。
モータの定格出力は、負荷の運転に必要な動力から計算され、その代表的なものを下記に示します。
P(W) = 9.8 W V K / η
P:モータの出力(W)
W: 荷重(kgf)
V:巻上速度(m/sec)
η:機械効率0.7〜0.9
K:垂直巻上の場合K=1
バランスウェイト方式の場合K=0.5〜0.6
P(W) = 9.8 (Wsinα + μWcosα) V / η
P:モータの出力(W)
W:荷重(kgf)
V:速度(m/sec)
μ:走行抵抗係数
・車輪を利用して良好な路面を走行するときμ=0.01〜0.03
・車輪を利用して砂利路など悪路面を走行するときμ=0.1〜0.2
・車輪を用いず摩擦しながら移動するときμ=摩擦係数
η:機械効率0.7〜0.9
α:傾斜角度(°)
・水平走行の場合はsinα=0、cosα=1となる。
車輪径D(o)、走行速度V(m/min)とするとギヤ軸の必要回転速度N(rpm)は下式で表される。
モータ出力P(W)の求め方より出力を計算し、上記ギヤ軸の回転速度N(rpm)から必要トルクTL(N・m)を計算する。
計算によりもとめたトルクTL にサービスファクタ Sf をかけたTRとギヤ軸の回転速度N(rpm)より 適当なものをカタログより選定する。
TR >TL× Sf
(サービスファクタの表を参照)
サーボモータの基本動作パターンを上図の通りとすると1サイクル内の実功平均トルクTRMSを求めることにより、TRMS≦モータの定格トルクにな
るようなモータを選定します。
TRMS :実行平均トルク(N・m)
TS:起動トルク(N・m)
Tr :運転トルク(N・m)
Tb:制動トルク(N・m)
N0:モータ定格回転速度(rpm)
P:モータ出力(W)
ts :起動時間(sec)
tr:運転時間(sec)
tb:制動時間(sec)
・直線運動の場合
W:直線運動部の重量(kgf)
Vr:直線運動部の速度(cm/min)
Nr:モータ軸回転速度(rpm)
μ:摩擦係数
・回転運動の場合
TL:負荷トルク(N・m)
NL:負荷軸回転速度(rpm)
η:減速機効率
GD2M:モータのGD2(kgf・cm2)
GD2L:負荷のGD2(kgf・cm2)
モータ軸に換算した値
・直線運動の場合
・回転運動の場合
GD2L:負荷のGD2(kgf・cm2)
運動時間Trは負荷の1サイクルにおける移動距離と移動速度からあらかじめ設定しておきます。
サーボモータを運転するためにサーボドライバと組み合わせます。ドライバの容量はモータ出力に合わせて選びますが、
ドライバは最大電流が決められていますので起動トルクもこれにより制限され、下記より算出されます。
T0:モータ定格トルク(N・m)
I0:モータ定格電流(A)
IS:ドライバ最大電流(A)
起動トルクが決まると起動時間TSは下式により求められます。
この値が、希望値より大きい場合は、起動時間を短くするため、もっと大きい容量のサーボドライバを選定することになります。
減速比を豊富に取り揃えており、安価、効率のよいギヤヘッドです。
出力軸がモータ軸と同一軸上にあり、小形で非常に効率のよいギヤヘッドです。
出力軸がモータ軸と直角に出ています。音が静かで、減速比の大きいものはセルフロックが働きます。
オーバーハング荷重とスラスト荷重をギヤヘッド仕様一覧表に示します。 これらの荷重がこの表の値をこえますと、軸受やギヤの寿命および軸に大きな影響を与えますので、十分ご注意ください。
ギヤードモータの定格トルクは次式により計算します。
TR = TM ×i × η
TR:ギヤードモータの定格トルク(N・m)
TM:モータのトルク(N・m)
i:ギヤヘッドの減速比
η:ギヤヘッドの伝達効率
※ 本ページ記載の定格トルクは、ギヤヘッドの種類により決められている許容トルクから設定してあり
ます。
実用上、負荷は変動することが多く、その負荷条件によって寿命は、大きく変化します。
次表に示すサービスファクタ(寿命係数)を用いてギヤードモータを選定してください。
TR > TL × Sf
TR:ギヤードモータの定格トルク(N・m)
TL:負荷に必要なトルク(N・m)
Sf:サービスファクタ
負荷条件
|
サービスファクタ
|
||
1日5時間
|
1日8時間
|
1日24時間
|
|
一様負荷
|
0.8
|
1.0
|
1.5
|
軽衝撃
|
1.2
|
1.5
|
2.0
|
中衝撃
|
1.5
|
2.0
|
2.5
|
重衝撃
|
2.0〜2.5
|
2.5〜3.0
|
3.0〜3.5
|